「地下水余話」バックナンバー(2012年)

エチオピア通信2

前回(エチオピア通信1)は首都の水事情についてお知らせしたので、今回は地方の水事情についてお伝えしたいと思います。 首都やいくつかの主要都市では水道がかなり普及していますが、その他の地方都市となると、水道はあるものの、水道を家まで引き込んでいる家はお金持ちの家だけで、大体は庭に一つ、もしくは共同水栓となります。少し都市を離れれば水源は井戸や湧水となり、もっと離れると川や湖から直接水を汲むスタイルとなります(写真は湧水からの水汲み場)。 日本人がこの写真を見たら、小さい子供が大変だな、不便でかわいそうだな、開発してあげないと、と思うのではないでしょうか。でも、実際にここに来て感じるのは、本人は別に大変とも思ってないし、決して不幸ではないのではないかということです。もし彼らが不幸と感じるとしたら、それは、我々が「開発」したとき、つまり、もっと便利な生活が外の世界にあると教えたときに、初めて不幸が発生するのではないか。そんなことを考えさせられるエチオピアの田舎の光景です。



執筆担当:か 情報掲載日: 2012/12/22(土)

湧水めぐりの資料を新入社員教育で活用

公益社団法人日本地下水学会 市民コミュニケーション委員会で作成した湧水めぐりの資料がある会社の新入社員教育で活用され、「地下水の知識がほとんどない新人の教育の教材として大変役に立った」とのご連絡をいただきました。具体的には、目黒不動尊の湧水で新入社員がpH、EC、水温を計り、湧水めぐり資料のデータと比較したり、同日別の場所(等々力渓谷の湧水や河川水)の計測データと比較して湧水機構を考えたりしたそうです。湧水めぐりの資料は、一般の方向けに分かり易く地下水を知ってもらおうと、当委員会メンバーが写真や地図等を多用し作成しています。皆様も是非ご活用ください。

執筆担当:しん 情報掲載日: 2012/11/26(月)

 

東久留米湧水・清流研究会(代表 山口久福氏)※が湧水記録DVDを編集

公益社団法人日本地下水学会は、東久留米湧水・清流研究会が編集した湧水記録DVDを拝見しました。以下がその感想です。

※連絡先:東久留米湧水・清流研究会(代表 山口久福) TEL&FAX:042(473)2162

 

東久留米の湧水・清流記録ビデオ(DVD)を
拝見した感想

  • 立野川、落合川、黒目川流域から湧き出す湧水と清流をくまなく映像に捕らえた115分に及ぶ長編の記録です。
  • 湧水量の多い場所は誰もが目に止めることができますが、水量の少ない護岸や河底、生い茂る樹木の間などからの
    湧水をDVDに収めているところが良さといえます。
  • 映像だけを見ていると、同じような光景に特定の場所を見失うことがありそうです。付属の「湧水マップ」を見ながら、
    映像を見ることで場所の確認ができて、どのあたりからどのくらいの湧水があるのかを想像させてくれます。
  • 河川の上流ではわずかな浸み出しと流れであったものが数キロメートル下流の中流、下流域では川幅が広くなり、
    清流がとうとうと流れる様は、この流域が湧水を育む地形と地質、そして古多摩川が残した大きな自然遺産であることを物語っています。
  • この大きな自然遺産を地元の有志・自治体が清流保全都市として宣言し保全活動に取り組む姿には周辺はもとより後世の人々にも大きな財産を残すものと思います。

今後も、湧水と清流保全活動に打ち込まれることを
心からお願い申しあげます。

執筆担当:公益社団法人日本地下水学会 市民コミュニケーション委員会 情報掲載日: 2012年10月

宮古島市伊良部島「サバウツガー」

宮古島市伊良部島では昭和41年8月に水道が敷設されるまで、240年間も地下水を利用してきました。その地下水を汲み上げる井戸は海岸に面した崖の下! 1日何回も123段の階段を往復したそうです。生きるための過酷な歴史を物語るサバウツガー。その語源は対岸の池間島から見た地形が鮫の口に似ていることから「サバウツ」と名付けられたと考えられているそうです。ただし潮により飲用としては適していないそうです。

 

執筆担当:しん 情報掲載日: 2012/10/23(火)

地中熱利用促進地域交流2012岐阜

岐阜市文化産業交流センター「じゅうろくプラザ」で11月13日(火)、「地中熱利用促進地域交流2012岐阜」が開催されます。講演会参加費は1,000円とのこと。詳しくは岐阜地中熱利用研究会事務局058-242-3114へ。

執筆担当:(て) 情報掲載日: 2012/10/21(日)

エチオピア通信1

当委員会の1名が青年海外協力隊でエチオピア・アジスアベバ水道局の水質分析課に2011年秋より在籍しています。現地からのレポートを「エチオピア通信」としてお伝えします。 首都アディスアベバ市の水事情について書くと、水源は半分以上はダム水源ですが、地下水も使っています。とにかく需要に供給が追いついていないのが一番の問題で、断水も多いので、新たに井戸を掘ることに力を入れています。最近新たに20本近く井戸を掘って供給を始めたところですが、深度が深く、500m-600m位だそうです。エチオピアは、人は穏やかで優しく、のんびりしており、気候はいいし、治安は軽犯罪こそありますが重犯罪がほとんどないため、住みやすい良い国です。昔の日本のような感じでしょうか。写真はポンプステーションで採水している様子です。周辺住民の服が干してあり、のどかな感じがわかると思います。

 

執筆担当:か 情報掲載日: 2012/10/07(日)

地震と温泉水との関係(和歌山県・白浜温泉)

和歌山県・白浜温泉の泉源水位が東日本大震災直後に急激に低下していたことが日本温泉科学会会長の西村進・京都大学名誉教授らの調査で明らかとなった。地震と地下水位との関係は以前から指摘されており地震で地盤が押されて水位が上昇したり、地盤が引っ張られることにより水位の低下が観測される。今回の白浜温泉の場合、本震前の揺れ十数分後に水位が低下、すぐに回復したものの本震直後に再度急激な水位低下が観測された。また秋田や山形の温泉では湯量が激減する現象も確認されている。阪神・淡路大震災の際にも同様に近くの温泉で水位変動や水温変化が観測されている。(独)産総研では地震と地下水変化の関係から、近く訪れると予想されている南海地震の前兆を捉えようと各地に地下水観測孔を設置・観測を行っている。【神戸新聞ニュース,2012/9/17】

執筆担当:お 情報掲載日: 2012/10/05(金)

地下水で省エネ工場

製品の洗浄用に使っている地下水(夏は冷たい、冬は暖かい)を活用して冷暖房の熱エネルギーを節約する省エネ工場が滋賀県東近江市の製造メーカーで導入したとのこと。15%程度の節電効果があるという。既存の設備をそのまま活用したので導入費用は200万円程度であった。新聞記事によれば、「地中熱を省エネに生かす取り組みは住宅などで徐々に広がっているが工場では珍しい」とのこと。【出典:日経新聞2012年8月17日13版11頁】

執筆担当:しん 情報掲載日: 2012/08/27(月)

自然のクーラーでひんやり(静岡県御殿場市)

静岡県御殿場市駒門にある国指定天然記念物「駒門風穴」は、約1万年前の富士山噴火でできた全長約300メートルの溶岩空洞です。空洞内は地下水の影響で年間を通じて気温が約13度に保たれているため、自然の涼を求めて多くの観光客が訪れています。また受付裏手には富士山からの地下水である「駒門の名水」を飲むこともできます。空洞探検した後に飲む名水は格別でしょう。特に今年は猛暑の夏ですので、自然のクーラーを体験しに行ってはいかがでしょうか。●開場時間:午前9時~午後5時。【静岡新聞,2012/8/4】

執筆担当:お 情報掲載日: 2012/08/27(月)

大阪の地下鉄に地下水で「ししおどし」

大阪の地下鉄堺筋本町駅(中央区)で、駅構内に湧き出た地下水を活用した「ししおどし」が登場したとのこと。駅員さんのアイデアで作成したそうです。見た目と音で涼しさを演出しているみたいですよ。【出典:日経新聞2012年8月4日】

執筆担当:しん 情報掲載日: 2012/08/15(水)

アフリカ大陸の地下水賦存量

英国地質調査所らが、アフリカ全土の水文地質資料,井戸記録などを集めた上で、帯水層厚、想定貯留係数,比湧出量などから地下水の賦存量を定量評価したところ、アフリカの地下には表流水と浅層地下水の100倍もの深層地下水が存在するとの結果が得られました。 もちろん全ての地下水を利用することは不可能であり、また地域による差はあると思いますが,紛争や気候変動による飢饉に見舞われたアフリカの人々にとって,地下水が大きく貴重な資源であることを再認識させられます。

執筆担当:ま 情報掲載日: 2012/08/09(木)

安曇野市で麦の転作田から地下水涵養実験

安曇野市で麦の転作田から地下水涵養実験 長野県安曇野市で2012年7月11日、地下水の減少傾向に歯止めとなるように、麦を収穫した後の転作田に水を張り地下に水を浸透させ涵養する実験が始まったとのこと。

出典:信濃毎日新聞

執筆担当:しん 情報掲載日: 2012/07/17(火)

地下水の保全・利活用で「安曇野ルール」

安曇野市の地下水保全対策研究委員会は地下水の保全や利用に関する独自ルールを決めたそうです。今後さらに議論を深め、今年9月までに指針を正式決定、来年3月までに条例案を取り纏めるとのこと。安曇野はワサビ栽培やミネラルウオーターの製造など地下水を生かした地域活性を推進している地域。市は観測井戸での監視などを行うことで地下水の収支を把握し、地下水の保全を目指すようです。詳しくは信濃毎日新聞をご覧ください。

執筆担当:しん 情報掲載日: 2012/05/11(金)

楽寿園・小浜池(静岡県三島市)

地下水学会50周年記念事業『柿田川湧水と箱根の温泉湧出機構を探索する旅』で訪問した楽寿園・小浜池が1960年以来52年ぶりに冬枯れしない見込みであることが分かりました。小浜池は富士山からの伏流水が湧き水となって現れ、昔は年中水を湛える池であったといいます。しかし、1960年代頃から湧水量の減少に伴い降雨の少ない冬季には度々枯渇現象が観測されるようになりました。昨年(2011年)は台風12号に代表される豪雨が幾度か観測されたための現象と推測され、また台風12号後には7年ぶりに満水位も観測したそうです。私たちが湧水ツアーで訪れた際(2009年)にも水はありましたが、今はもっと立派な小浜池を見学できると思います。また楽寿園園内や楽寿園から500m程離れた三嶋大社は桜の名所でもあるので、ぜひ足を運んでみてはどうでしょうか。現地は遠くて足を運べない、という人も毎日の小浜池の水位を確認できる(タイトルをクリック!)のでチェックしてみてください。【静岡新聞,2012/3/24】

執筆担当:お 情報掲載日: 2012/04/11(水)

日立製作所の中央研究所庭園公開

1月にぶらタモリでも紹介された日立製作所中央研究所ですが、年2回一般公開されています。春の公開は4月1日(日)です。野川の源流のひとつである湧水を庭園内で観察することができます。桜の木もたくさんあり、いつもならおお花見も楽しめます(場内は飲酒禁止です)。今年は桜は少し遅れそうで残念です。詳しくは日立製作所のHPをご覧ください。

執筆担当:の 情報掲載日: 2012/03/22(木)

地下水で変色した道路(石川県:小松市)

石川県小松空港から小松市中心部に向かう国道360号線の城南町や浜田町付近では道路の変色が目立つ。白から赤茶色に変色したセンターライン―その原因は鉄分を多く含んだ地下水が融雪装置で散布され空気と接触したためであるとのことだ。市立博物館専門員によると市中心部の地質には鉄分を含む雲母と呼ばれる鉱物が多く、その成分が地下水に含まれるためこの様な現象が起きたという。【北国新聞,2012/2/20】

執筆担当:お 情報掲載日: 2012/02/20(月)

水源地保全への取組み(長野県

長野県内の水道水源地のうち、私有地や所有者不明の土地にあり法律や条例による取水・開発の規制がかかっていない場所が100箇所以上存在している。そんな中長野県では市町村による「公有地化」を促すことを柱とする対策案を固め水源の保全を図る試みがなされている。具体的な対策案として、①市町村が水源地を取得・管理する公有地化、②県が保安林に指定、伐採や土石の掘削を制限する保安林化、③市町村と土地所有者が水源地保全を目的とした契約や協定を結ぶ、の3案を示したうえで現場の状況にあわせて対策をとる。中でも公有地化については買収費用が市町村の負担となることや買収交渉が難航する等の問題が生じるため、既に取り入れている市町村でもなかなか進まないケースが多い。長野県では今後所有者への説明会等を通じて、市町村を支援していく方針である。【信濃毎日新聞,2012/1/27】

執筆担当:お 情報掲載日: 2012/02/07(火)

富山県で【節水診断】開始

豪雪地帯で有名な富山県では消雪用に地下水を汲みあげて利用していますが、近年地下水の過剰揚水により地盤沈下や井戸水の枯渇が深刻な問題となっています。 そんな中、富山県は県内の団地や町内会などが所有する消雪設備約200カ所の【節水診断】に乗り出しました。診断は無料で降雪検知器の異常の有無や感度の設定、散水ノズル・バルブの感度の設定などを確認。各地点毎に現状の調査と節水のための助言を県の委託業者が行っていく。 一部の消雪設備では降雪がない時や気温の高い時でも地下水の散水が行われているケースがあり、県の試算では消雪設備の降雪感知器の稼働開始温度を3度から2度に下げると約5%の節水・節電が可能になるとのこと。また雪がやんでから散水を停止するまでの時間を30分から10分に短縮することで、約13%の節水・節電につながる。 節水診断は全国初の試みであり、地下水問題を抱える他の自治体のモデルケースとなるか今後の動向が注目されます。【北国新聞(電子版),2011/12/31】

執筆担当:お 情報掲載日: 2012/01/28(土)

NHKブラタモリで野川の源流を紹介

とりきち委員会が2005年に実施した 湧水めぐり「武蔵野台地の湧水めぐり」で訪れた野川の源流をブラタモリでも紹介。番組では普段入ることができない日立中央研究所内にある野川の源流を見学していました。「ブラタモリ 国分寺~遺跡編~」の再放送は2012年2月2日(木)午前1:10~(1日の深夜)。是非ご覧ください。

執筆担当:しん 情報掲載日: 2012/01/28(土)


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